まずは、適切な治療費を獲得
加害者が非を認めていない場合、
こちらにも過失がある場合
加害者が非を認めていない場合には、スムーズに治療費が支払われないことがあります。そのようなケースでは、スポーツ振興センターを利用して治療を続けることができる場合があります。
加害者がおらず、お子様の単独の事故だったとしても、このスポーツ振興センターからお見舞金が支給されますので、将来の治療費に充てることができます。
加害者が非を認めている場合
加害者は治療費を負担する義務があります。加害者との間で治療費の支払いの交渉をしていきましょう。当事者間での話し合いが困難であれば、弁護士が代理人として、相手と治療費の支払いの交渉をしていくこともできます。
スポーツ振興センターとは
学校事故の被害に遭われた場合、「スポーツ振興センター」という言葉を耳にすることがあると思います。 この機関は、日本におけるスポーツの振興・児童生徒等の健康の保持増進を図る独立行政法人で、特に学校事故に関しては、児童や生徒が学校の管理下において負傷したり、疾病に罹患した場合に、医療費や給付金を支給する制度(災害共済給付制度といいます)を導入しています。
学校事故って例えば?後遺症の適切な評価を
大切なお子様が、学校で怪我をしたと、
あなたに連絡があったとき...
学校事故で傷害を負ったとき、不幸にも、後遺障害が残存してしまうケースがあります。加害者や学校に責任がある場合には、後遺症の程度に応じて、補償されなければならない金額が大きく変わってきます。
将来に向けた十分な補償を得るためには、現在のお子様のご症状を適正に認定してもらう必要があります。
後遺障害が残存した場合、スポーツ振興センターへ等級認定申請を行い、認定された等級を元にして賠償金額の計算を行い、加害者や学校との示談交渉や、訴訟手続きを進めていくことになります。
スポーツ振興センターが利用できない場合でも、どのような症状が残り、将来にどのような支障を与えるかについては、医学的に証明していかなければ加害者と話をつけることができません。
適切な慰謝料を
加害者から受けとらなければならないのは、治療費や交通費等の実費だけではありません。
精神的な慰謝料や、将来の収入の補償も救済されなければなりません。
いくらもらうのが妥当か?
過失がない場合の後遺障害慰謝料の目安
加害者側は、比較的安い金額を提示してきます。
慰謝料の金額は、法律で明確に定められているものではありません。そのため、加害者側は、比較的安い金額を提示してきます。
慰謝料の金額は、まずは話し合いで決定します(示談といいます。)。示談で決まらなければ、裁判になります。
過失がない場合の後遺障害慰謝料の一つの目安は、後遺障害の等級に応じて、下記のとおりです。
誰から支払をうけるべきか?
加害児童・生徒またはその親へ
不法行為に基づく損害賠償を請求できます
あなたのお子様が他の子どもの故意又は過失により負傷したような場合、加害児童・生徒またはその親に対し、不法行為に基づく損害賠償を請求することができます。
加害児童・生徒自身には十分な賠償資力がないことが通常ですから、可能であれば、親に対して賠償請求をしていくのが現実的です。
加害児童・生徒がおおむね12歳未満の場合、事故による賠償責任は親が負担することになります。
しかし、加害児童・生徒がそれより高年の場合、児童・生徒の責任を当然に親が負担するという関係にないため、注意が必要です。
教職員・地方公共団体へ
教職員は危険から生徒を保護する義務があります
学校の教師は、学校における教育活動によって生ずるおそれのある危険から生徒を保護すべき義務を負っています(昭和62年2月13日最高裁判決)。そして、危険をともなう技術を指導する場合には、事故の発生を防止するために十分な措置を講じるべき注意義務があります(昭和62年2月6日最高裁判決)。文部科学省の制定する中高学習指導要領によれば、教師は、学校教育たる職務の一環として、体育や部活動において、スポーツ指導に当たるものであり、学校側の責任者として部活動等全体を把握するという、広範囲、かつ多様な安全配慮義務を負っているのです。公立学校での学校事故の場合、国家賠償法上、教員に責任がある場合には地方公共団体が代わりに責任を負う制度になっており、教職員に対して直接、賠償請求をすることは認められませんが、私立学校の教員には直接賠償請求をしていくことができます。
学校へ
学校は教職員の使用者として義務を負います
教職員の故意又は過失によって事故が生じた場合、学校は教職員の使用者として損害賠償義務を負うことになります。公立学校や国立学校であれば国家賠償法1条1項、私立学校であれば民法715条が根拠条文となります。では、教職員に過失がある場合とはどのような場合でしょうか。これについては、教師は、学校側の責任者ですので、事故の発生を防止するために十分な措置を講じるべき注意義務があります(昭和62年2月6日最高裁判決)。そのほかにも、当事者が教師以外にも様々なケースで事故は起こりえますので、様々な事情を総合考慮することになります。考えられる要素としては(1) 年齢、(2) 性別、(3)健康状態、(4)スポーツであれば、初心者・上級者、アマチュア選手・プロ選手など、(5)競技の種目(球技、格闘技、個人競技・団体競技など)、(6)事故の状況(競技中・競技外、天候、場所など)、(7)当事者の属性(競技者、指導者、主催者、施設管理者、観客、第三者など)、(8)指導内容(通常の授業中か、危険な工具を扱う図工の授業中か、プール授業中か)、などが挙げられます。
国や市区町村、学校設置者へ(スポーツ設備等の設置・管理の瑕疵とその責任)
設備・用具の管理者に法的な責任が発生します
どんなスポーツでも、一定の設備や用具を使用することが通常です。
具体例を挙げれば、水泳をする場合、プールが必要ですし、サッカーをする場合、サッカーゴールが必要です。同様に、ゴルフをする場合であれば、ゴルフコース、ゴルフカート、練習場等が必要になってくるでしょう。しかし、これらの設備・用具に安全性を欠くような欠陥があり、それが原因となって事故が発生した場合、設備・用具の所有者・管理者に法的な責任が発生します。